各ネット証券会社では、投資信託の保有金額に応じたポイント付与サービスを実施しています。よって、投信を長期間保管するなら、基本的には最もポイント還元率の高い証券会社が合理的かつおすすめとなります。
今回、クレジットカード積立投資のできる主要ネット証券4社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券)で投信の保有場所(置き場所)の視点で比較検討してみましたので共有します。
比較検討の前提条件としては、ファンドオブザイヤーでも3連覇中の人気投信のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とします。今やオルカンの信託報酬は下がり続けてなんと0.1144%と超低コストです。
当然のことながら、低コストの投信のため、各社他の投信銘柄と比較してポイント還元率も特例で低く設定されています。
なお、今年の投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022でもオルカンに投票しました。
目次
SBI証券の投信保有ポイント還元率
オルカンは月間平均保有金額に対し年率で一律0.042%付与。(投信により1000万円以上等で付与率最大0.25%まで変化)
他社へ振替(移管出庫)する場合には、1本につき3,300円(税込)。
仮に1,000万円分のオルカンを保有していた場合は、1年間で4,200円分のポイント、10年間で42,000円分のポイントがタダでもらえます。タダでもらえると考えると意外と大きなポイントではないかと思います。
2022/11/14よりSBI証券のポイント(投信マイレージ)はJALマイルにも交換可能となり、ぐっと幅が広がります。基本的には、他のTポイント・ポンタポイント・dポイントの半額レートとなりますが、1マイル=2円と換算すると同等ですね。おまけに、株式移管入庫でも100ポイント(50JALマイル)もらえるのでお得ですね。
現在、JGC会員を維持しているので、JALマイラーにも嬉しい投信マイレージプログラムですね!
2023年上期にオンライン国内株式売買手数料の無料化ニュースが発表!業界を引っ張って攻めてます。
信用売買無料化は大口優遇達成で頑張れってことでしょうか。
なお、クレジットカード積立のVポイント還元率は0.5%。控えめ。
楽天証券の投信保有ポイント還元率
毎月末時点の投資信託の保有残高が、はじめて基準残高に到達した場合に楽天ポイントを進呈。残念ながら以前ポイントプログラムが改悪されて継続付与ではなくなりました。
ちょうざっくり説明すると、保有残高100万円プラスごとに100ポイントもらえるイメージです。せっかくコツコツためてもなんだか少ないですね。
他社へ振替(移管出庫)する場合には、1本につき3,300円(税込)。
なお、クレジットカード積立の楽天ポイント還元率は0.2%~0.5%。1%から大幅改悪。
マネックス証券の投信保有ポイント還元率
オルカンは月間平均保有金額に対し一律0.03%付与。(投信により付与率最大0.08%まで変化)
他社へ振替(移管出庫)する場合には、1本につき3,300円(税込)。
なお、クレジットカード積立のマネックスポイント還元率は1.1%。マネックス無双。
auカブコム証券の投信保有ポイント還元率
オルカンは月間平均保有金額に対し一律0.005%付与。(投信や残高により付与率最大0.24%まで変化)
他社へ振替(移管出庫)する場合には、1本につき5,500円(税込)。他社より高めの設定です。一度積み立てたら逃がさないぞということでしょうか。
なお、クレジットカード積立のポンタポイント還元率は1%。大健闘。クレカ積立トラブル事例(積立エラー)はこちら。
投信長期保有のベスト証券会社
以上ネット証券4社の比較検討結果より、投信を長期保有するベストな証券会社の結論は、ポイント0.042%還元の、
★SBI証券が最強★
となりました。次点がポイント0.03%還元のマネックス証券となります。厳密に比較検討していませんが、おそらくオルカン以外の銘柄でも結論として大きな差はないでしょう。
個人的には投信マイレージポイントとして、JALマイルにも交換できることが大きなメリットです。急ぎでなければ一度dポイントに交換してdポイント投資で運用して増やしてからJALマイルに交換してもよいですね。
SFCプラチナ達成したANAマイルには交換できなくても、JALマイルをためてためて、JGC会員としてサクララウンジも利用しながら旅行しまくりたいです。はい。
クレジットカード積立投資としての観点では、現時点ではマネックス証券が1.1%のポイント還元と最強(次点は1.0%還元のauカブコム証券)ですが、長期保有・保管の観点では、SBI証券が最強となります。
クレカ積立還元率と保有の還元率のバランスという点ではマネックス証券が優れているとも言えますね。
投信移管の注意点とチャンス
問題は、投信の移管手数料(出庫手数料)は1銘柄あたり3,300円以上かかるので、いつどうやって移管するかです。何度もこまめに移管すると、手間だし、せっかくの高いポイント還元率も手数料であっという間に相殺されて無駄となってしまいます。
それは、SBI証券の投信移管入庫手数料キャッシュバックキャンペーンを狙うことです。ひっそりと!?キャンペーンページに掲載されていますので、こまめにチェックしましょう。チャンスは準備している者に突然訪れます。
なおSBI証券では、直近では激アツの投信お引越しプログラム(全額キャッシュバック)が開催されています。いつ終了するかは分かりませんが、今のところどうやら恒久的なプログラムのようです。
ちなみに株式の移管と違って、投信の移管は書類提出など面倒ですのでご注意下さい。
投信移管手数料が高い理由の考察
そもそも株式移管は無料なことが多いのに、なぜ投信は高い移管手数料をふんだくるのか不思議ですよね!?
それは、投信は証券会社にとって重要な収入源の一つだからです。株式だったら売買手数料で往復の一度きりで収入が終わりですが、投信は、自社で保有してもらうことによって、日々報酬が発生しているのです。
例えば、オルカンなら0.1144%の信託報酬のうち、0.0462%が販売会社分である証券会社の継続的な報酬となります。(残りは運用会社と信託銀行の取り分の報酬となります。)
SBI証券なら、0.042%の投信マイレージ還元なので、実はほぼすべての信託報酬を還元してくれていることになります。割合で言うと、なんと信託報酬の91%分を顧客に還元とは素晴らしいの一言ですね。他の証券会社にも見習ってほしいです。
このように、オルカンのような売買手数料が無料のノーロード投信でも、実は販売会社にしっかりと継続報酬が入っています。でないと証券会社で投信を取り扱う理由がなくなってしまいますから。各社の継続保有の還元ポイントの出どころもここからですね。
よって、収入源の投信を自社から他社に逃がしたくないので高い手数料を設定するのでしょう。入庫は無料でウェルカム、出庫は高額手数料でアンアクセプタブルなのです。
SBI証券へオルカン移管の損益分岐点計算
仮にキャッシュバックキャンペーンがタイミングよくなかったとしても、移管する投信の総額(移管後にプラスでもらえるポイント)と移管手数料とを比較しながら、何か月で損益分岐点を迎えるかを計算してみればよいかと思います。
例えば、楽天証券からSBI証券にオールカントリーを移管する場合、楽天証券が還元付与率ゼロとして計算すると、移管手数料3,300円なので、ポイント還元率の差分が年率0.042%なので、1年間でペイする投信残高総額は、約786万円分となります。
マネックス証券からSBI証券にオールカントリーを移管する場合、出庫手数料が3,300円なので、1年間でペイする投信残高総額は、ポイント還元率の差分が年率0.012%なので、約2,750万円分となります。かなり大きな金額ですね。
auカブコム証券からSBI証券にオールカントリーを移管する場合、出庫手数料が投信1本5,500円なので、1年間でペイする投信残高総額は、ポイント還元率の差分が年率0.037%なので、約1,486万円分となります。
上記各社の移管損益分岐点は移管判断基準の一つの目安となるかと思います。
オルカン1本でインデックス積立投資をやっていると、これだけで全世界株式に投資でき、維持管理も簡単ですし、移管時の手数料も1本分と最小限となるのでおすすめですね。シンプルイズベストです。
投信保有まとめ
投信保有還元率としてパーセンテージ的には小さな数字の差かもしれませんが、これが何年、何十年と積もり積もってくると資産額として大きな差となって現れます。
同じ投信とは言え、買う場所(生まれる場所)も大切ですが、置き場所(育てる場所)も大切ということですね。さらには、いずれ最後の老後の出口戦略(売り場所や売り方という、死に場所というより輪廻転生場所)も検討していかなければいけませんね。
そして、今後も各社還元率の見直しも行われていくと思いますので、無理のない範囲内で都度最適な判断を行って行動していく必要があります。オルカンなら現時点ではSBI証券がベストな保有場所になります。
注意点として、株主優待クロス取引(つなぎ売り)等で信用売買をされる方は、この投信も担保(証拠金)として活用できますので、一概に投信を一カ所に集約させればよいとも言えませんのでご注意下さい。人それぞれです。
また、各証券会社の投資信託は分別管理されることが法的ルールなので、万が一倒産しても全額返金保証されますが、万が一の万が一、分別管理のルールを守っていない場合(基本的にはありえないとは思いますが)は、日本投資者保護基金にて1000万円補償までとなります。銀行預金のペイオフと同じですね。そういう意味では、1証券会社に保有する資産は1000万円がひとつの指標であったり目安かもしれません。
投信積立、投信保有(保管)、解約(売却)の入口から出口にかけての3フェーズの最適な解を合理的に判断して実行していきましょう。